化粧品ブランドがRoblox・Fortniteに注目する理由とは?Z世代マーケティングの新しい形

化粧品や美容ブランドの間で、Roblox(ロブロックス)やFortnite(フォートナイト)をマーケティングに活用する動きが広がっています。
2026年8月には、英国のフレグランスブランド「ジョー マローン ロンドン」が、新商品「Sea Salt & Bergamot」のプロモーションとしてFortniteに英国の海岸線をイメージしたゲーム空間を展開しました。
一方、Robloxではスキンケアやメイク、ヘアケアそのものをゲーム体験に取り入れるブランドも登場しています。
なぜ化粧品ブランドは、ゲームに注目しているのでしょうか。
そこには、単なる広告とは異なる「商品やブランドを体験してもらうマーケティング」への変化があります。

なぜ化粧品ブランドがゲームに注目しているのか?
大きな理由の一つが、Z世代・α世代との接点です。
若い世代にとってゲームは、単に遊ぶだけの場所ではありません。
友人とコミュニケーションしたり、アバターを着せ替えたり、自分の好きなファッションやスタイルを表現したりする場所にもなっています。
特に美容やファッションは、「自分らしさを表現する」というゲーム内のアバター文化と相性が良い分野です。
Robloxによる調査では、調査対象となったZ世代Robloxユーザーの71%が、ブランドのメイクを自分のアバターに使用すると、現実でもそのブランドの利用を検討しやすくなると回答しています。
「広告を見る」から「商品を体験する」へ
ゲームマーケティングで重要なのは、ゲーム空間に企業ロゴや広告看板を設置することだけではありません。
現在は、商品やサービスそのものをゲーム体験に変える取り組みが増えています。
例えばRobloxでは、ガルニエ(Garnier)が肌トラブルに遭遇するシナリオをゲームに取り入れています。
米国のヘアケアブランド「The Doux」はバーチャルサロンを展開し、プレイヤーがカウンセリング、シャンプー、ヘアスタイリングなどを体験できるようにしています。
つまり、
・スキンケア → ゲームの課題にする
・ヘアケア → バーチャルサロンで体験する
・メイク → アバターで試す
・香水 → ブランドの世界観をゲーム空間として表現する
といった形です。
従来の「商品を見せる広告」から、「商品について遊びながら知ってもらう体験」へ変わりつつあります。
Fortniteではブランドの「世界観」をゲームにできる
ジョー マローン ロンドンの事例では、香りそのものを画面上で体験することはできません。
そこで、Sea Salt & Bergamotという商品のイメージを、英国の海岸線をモチーフにしたFortniteの空間として表現しました。プレイヤーはその世界を探索しながらゲームを楽しみます。
これはFortniteを企業マーケティングに活用するうえで重要なポイントです。
商品の機能を直接再現するのが難しくても、
・商品の世界観
・ブランドのストーリー
・店舗や施設
・商品を連想させるゲームルール
などを3D空間とゲーム体験に変えることができます。
広告を見るのではなく、ブランドの世界の中で遊んでもらうわけです。
Robloxではアバターそのものがマーケティングになる
Robloxではさらに、アバターを使った商品体験が進化しています。
2026年3月、RobloxはAvatar Marketplaceに新カテゴリー「Makeup」を導入しました。
目元、唇、顔、眉、まつげなどを組み合わせて、ユーザーがアバターをメイクできる仕組みです。開始時点で100点以上のアイテムが用意されました。
e.l.f. Cosmeticsもこの取り組みに参加し、実際の商品から着想を得たデジタルメイクを展開しています。
これは非常に興味深いマーケティングです。
・リアルの商品を知る
↓
・Robloxでアバターに使う
↓
・ブランドに親しむ
↓
・リアルの商品にも興味を持つ
という、デジタルとリアルを横断したブランド体験を作れるからです。
ゲームからリアル商品の購入につなげる動きも
ゲームは認知を獲得するだけの場所ではなくなりつつあります。
Robloxでは2025年からShopifyとの連携により、米国の対象ユーザーがゲーム体験の中から実物の商品を購入できる仕組みも導入されています。
将来的には、
ゲームで商品を知る
→ ゲーム内で体験する
→ 商品に興味を持つ
→ 実際の商品を購入する
という流れが、より自然になっていく可能性があります。
重要なのは「ロゴを置くこと」ではない
今回の事例で特に重要なのが、この考え方です。
企業ロゴをゲームの中に置いただけでは、ゲームマーケティングとは言い切れない。
ブランドロゴがなくなってもゲーム内容が何も変わらないのであれば、実質的には広告スペースを購入しているだけだという専門家の指摘が紹介されています。
例えば化粧品ブランドなら、
「肌の悩みを解決する」
という商品の特徴をゲームのミッションにできます。
ヘアケアなら、
「髪を洗う → スタイリングする → コーディネートする」
という流れ自体をゲームにできます。
つまり重要なのは、
「ゲームの中に商品を出す」のではなく、「商品の特徴をゲームにする」
という発想です。
この考え方は化粧品以外にも応用できる
このマーケティング手法は、美容業界だけのものではありません。
例えば食品メーカーなら、商品を集めたり、作ったり、運んだりするゲームにできます。
スポーツ用品メーカーなら、商品の特徴を競技やタイムアタックとして体験させることができます。
鉄道会社なら駅や沿線をゲームの舞台にし、自治体なら観光地を探索したり、地域の名産品を集めたりするゲームを作ることもできます。
重要なのは、
「この商品・ブランド・地域だからこそ成立する遊びは何か?」
を考えることです。
ゲームは「若年層向け広告」から「ブランド体験」へ
RobloxやFortniteが企業から注目されている理由は、単に若いユーザーが多いからだけではありません。
従来の広告では、
広告を見る → 商品を知る
という体験が中心でした。
ゲームなら、
・ゲームを遊ぶ
↓
・商品やブランドの特徴を体験する
↓
・ブランドの世界観を理解する
↓
・好きになる
↓
・SNSやリアル商品へつながる
という、より深いコミュニケーションを設計できます。
特にZ世代・α世代へのマーケティングでは、広告として一方的にメッセージを伝えるのではなく、ユーザー自身が参加できる体験を作ることが重要になっていくと考えられます。
まとめ
化粧品ブランドによるRoblox・Fortnite活用は、ゲームマーケティングの変化を象徴する事例です。
ゲーム空間に広告を出すだけではなく、
・商品をゲームの仕組みにする
・ブランドの世界観を3D空間にする
・アバターで商品を体験する
・ゲームからリアル商品へつなげる
といった取り組みが始まっています。
そして、この考え方は化粧品だけでなく、食品、飲料、ファッション、スポーツ用品、小売、鉄道、不動産、観光など、さまざまな業界に応用できます。
これからのゲームマーケティングで重要になるのは、
「ゲームの中に広告を置くこと」ではなく、「商品やブランドそのものを遊びに変えること」
ではないでしょうか。
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